パンピー図鑑|張替 翔太 ― 正解を探さない。選んだ道を、正解にしてきた。

── 営業代行とSES事業を経営している、張替翔太さんの実例から

環境を変え、役割を引き受け、時には離れながら進んできた時間がある。
恐怖の中で動いていた日々も、不器用なまま立っていた瞬間も、そのまま残っている。

これは何かを完成させた人の物語ではない。
選び直しながら続いてきた一人の足取りを、静かにたどっていく。


プロフィール

名前:張替翔太
肩書き:営業代行・SES企業 経営
主な活動内容:営業代行事業(Leeeaps)、SES事業(IGNIS GATE)
趣味:ゴルフ、麻雀、テニス、ドライブ、BAR開拓

これまでの経歴・経験
大学卒業後、新卒で営業系ベンチャー企業に入社。空調機器メンテナンスを扱う法人営業に従事し、テレアポや飛び込みを中心とした新規開拓を経験した。その後フリーランスとして営業代行を開始し、大手営業支援会社での案件にも参画。現在は営業代行事業(Leeeaps)とSES事業(IGNIS GATE)を経営。WEBエンジニア育成を通じて、技術者にとどまらないビジネスパーソンの輩出を目指している。

各種ページ・SNS
【HP】Leeeaps
【HP】IGNIS GATE
【Instagram】個人アカウント


目立たない場所にいた少年

幼少期の彼は、内気な性格だった。

「どちらかといったら目立ちたくなかった。」

絵を描くことが好きで、静かな時間を好んだ。
小学校からサッカーを始めるが、中学で退部する。

「結構、孤独を感じることが多かったですね。」

練習試合の合間、誰と弁当を食べるかを考える時間。
強い言葉が飛び交う空気。

彼は、そこにいること自体に疲れていった。

中二で辞める。

「サッカーを頑張ろうと思わなくなったから、逆に楽しく思えるようになった。」

離れることで、関わり方が変わった。

続けることではなく、
距離を変えることを選んだ最初の経験だった。


嫌われ役に手を挙げた理由

大学では体育会系のテニスサークルに所属する。
テニスの技術だけでなく、規律や上下関係も厳しく求められる環境だった。

コートに入る前の挨拶、移動の仕方、練習の姿勢。
細かいルールが数多くあり、それを守ることでサークルの一体感が保たれていた。

そのルールを維持する役割が、幹部にあった。

三年時、彼は副将に志願する。
後輩に対して規律を守らせる、いわゆる嫌われ役だった。

「ワクワクは一割ぐらい、九割は不安でしたね。」

人に何かを教えた経験はほとんどなかった。
口下手で、頭の中の言葉をうまくつなげることも難しかった。

それでも彼は、その役割を引き受ける。

理由は、能力ではなかった。

厳しいことを言いながらも、サークルの空気を支えている先輩たちの背中に憧れたという。

「理念を体現してる姿がかっこいいと思ったんです。」

その立場に立てば、何かが変わるかもしれない。
そう思った。

実際に始まると、想像していたよりも難しかった。

後輩にルールを伝える場面。
なぜそれを守る必要があるのか、説明しなければならない。

ただ強く言えばいいわけではなかった。
納得されなければ、形だけが残る。

だが、自分の言葉がうまく出てこない。

何を伝えるべきかは分かっているのに、
どう伝えればいいのかが分からない。

同じ役職のメンバーに助けられる場面も多かった。

それでも、役割は続く。

うまくできないまま、
毎回の場に立つ。

逃げることもできたが、やめなかった。

一年が過ぎた頃、後輩の一人がこう言う。

「大変そうだけど、やってみたいと思いました。」

必ずしもうまくできていたわけではない。

ただ、あきらめずにやり続けた。

その場に立ち続けていたことが、
しっかりと伝わっていた。


恐怖で動いていた三年間

新卒で入社したベンチャー企業。
営業職。

朝から深夜まで働く。
成果が出なければ、もちろん居心地は悪い。

「恐怖におびえていた、というのが正しいかもしれないです。」

怒号が飛び交うオフィス。
アポが取れなければ外に出られない。

彼はそこにいたくなかった。

だから電話をかけた。
数を打った。

「オフィスにいたくなかったからこそ、テレアポ頑張ってアポ取得して外に飛び出してました。

新人賞を受ける。
だが安心は長く続かなかった。

「二十代は修行かなとは思ってました。」

そう言いながらも、居心地の悪さは消えなかった。

続けることと、離れること。
どちらが正しいのか分からないまま、時間は過ぎていった。

それでも彼は残った。

やり切らずに離れることを、選ばなかった。

そのときの経験は、いまも活きている。


委ねないと決めた理由

二十代半ば、彼は副業で代理店ビジネスに参画する。

それまでにも、すでに違和感はあった。

新卒で入った営業会社では、
成果を出さなければ居場所が揺らぐ環境にいた。

評価や空気に合わせて動く時間が続く中で、
自分の判断が、自分のものではない感覚が残っていた。

代理店ビジネスに関わったことで、
その感覚ははっきりとした形を持つ。

人との関係性、期待、信頼。
どこまでが自分の意思で、どこからが外側の影響なのか。

線引きが曖昧になる場面が増えていく。

その中で、彼は一度立ち止まる。

「自分の人生を組織や他人に委ねない事。」

それは、反発というよりも、
整理に近いものだったのかもしれない。

同時に、もう一つの言葉が残る。

「一度の人生、制限を設けずわがままに生きる事。」

どちらも強い言葉だが、
すぐに形になったわけではない。

むしろその後も、
判断に迷う場面は続いていく。

ただ、何かを決めるとき、
その言葉に立ち戻るようになる。

組織に残るか、離れるか。
続けるか、終わらせるか。

その都度、
外側の基準ではなく、
自分の中に軸を置くようにしている。

完全に手放せたわけではない。

それでも、
委ねないと決めたことだけは、残っている。


火をつける側に立つ

現在、彼はIGNIS GATEの創業メンバーとしてSES事業を運営している。

WEBエンジニアの育成を掲げているが、
彼の関心は、技術そのものだけには向いていない。

未経験からエンジニアを目指すメンバーが集まる。
カリキュラムは簡単ではない。

学習が進まない時期もある。
手が止まる場面もある。

ひとりでは解決できないことも多く、
孤独に近い状態になることもある。

そうした中で、彼は仕組みを用意している。

メタバースを活用した定期ミーティング。
チーム制の導入。

リーダーは立候補制で、
社歴や実力に関係なく手を挙げたメンバーが担う。

同じ場所に集まらなくても、
関わり続けられる状態をつくる。

それでも、全員が順調に進むわけではない。

途中で止まるメンバーもいる。
進む速度に差も出る。

その変化を、彼は見ている。

「自信なさげだったところから、姿勢が変わったり声が大きくなったりしていく。」

技術が身についたかどうかよりも、
立ち方が変わる瞬間に目が向く。

最初は声が小さかったメンバーが、
自分から発言するようになる。

チームの中で役割を持つことで、
他のメンバーに関わるようになる。

そうした変化が、少しずつ現れていく。

「本気でチャレンジして、壁にぶち当たってきた人に魅力を感じます。」

彼が見ているのは、うまくやれる人ではない。
途中で止まりかけている人のほうに目が向く。

その姿が、どこか過去の自分と重なるのかもしれない。

「正解探しではなく、選んだ道を正解に変える力を。」


続けるより、終わらせる

10年続けたフットサルサークルを、彼は終わらせた。

始めた当初は、人の入れ替わりもあり、
その場に行けば誰かがいる状態だった。

新しく来る人もいて、
関係は少しずつ広がっていった。

だが年数が経つにつれて、
参加するメンバーは固定されていく。

顔ぶれは変わらず、
場の空気も大きくは動かなくなる。

大きな問題があったわけではない。

ただ、変化が少なくなっていた。

続けることもできた。
やめる理由も、はっきりしていたわけではない。

それでも彼は区切ることを選ぶ。

「ズルズル続けずスパッと辞めたのは自分らしい。」

これまでの選択と同じように、
今回もまた、続けるかどうかを自分で決めた。

続けることが正しいとも、
終わらせることが正しいとも言い切れない。

ただ、そのときの自分にとって、
区切るほうを選んだ。

「正解探しではなく、選んだ道を正解に変える力を。」

区切ったからといって、
それで終わりではない。

また何かを始めるかもしれないし、
別の場所で続けることを選ぶかもしれない。

続けるか、終わらせるか。

どちらの道を選んだとしても
彼の正解に近づけるよう、今日も進み続けていく。


本人から

「好奇心をもって主体的に取り組むこと。」
「受け身でなく能動的に取り組むと何でも楽しめること。」

「自分の人生、自分で責任とりきろうという気持ちの変化を起こせたら嬉しいです。」

振り返ると、
彼はその都度、立ち位置を選び直してきた。

目立たなかった時間も、
うまくできなかった時間も、
恐怖で動いていた日々も。

それらがどういう意味を持っていたのか、
その瞬間はわからない。

それでも、
選び続けてきた。

終始スタンスとして見えるのは、
人生を他人に預けないという姿勢だった。


編集後記

話を聞いているあいだ、
何かが完成していく感じはなかった。

むしろ、まだ途中にある感覚が残っていた。

選んできたことの意味も、
まだ定まっていない部分があるように見える。

それでも、その都度立ち止まりながら、
正解に近づいているか確かめているような時間だった。

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