sachi ― “できる×やりたい”を積み重ねてきた人

「将来の夢って何?」
その問いに、ずっと答えられない子どもだった。

お花屋さん、先生、ピアニスト。
同級生が当たり前のように口にする“夢”がどうしても浮かばなかった。
未来のイメージが持てない――それが、sachi さんの原点だ。

高校までは「敷かれたレールの上をちゃんと歩く」ことがゴール。
最低限をこなしていればとりあえず大丈夫、そんな感覚で過ごしていたという。

ただ、専門学校への進学だけは違った。
自分の人生で初めて「自分で選ぶ」ことをした瞬間だった。
スポーツが好きだったから。
「ちょっと気になる」から。
その程度の理由だったけれど、その“ちょっと”がsachi さんの人生をじわじわと動かし始めた。


やりたいことがないなら、“気になったことは全部やってみる”

大きな夢もビジョンもなかったsachi さんが選んできたのは、
“できそう” と “やりたい” が重なる地点を確かめる生き方。

「できることしかやらない。でも、その“できる”をちょっとずつ広げてきた。」

芸能人のような大きな夢を追いかければ、きっと挫折していた。
だから彼女は、目の前の「手が届く挑戦」をひとつずつ拾っていった。

スポーツショップで働く。
イベントを手伝ってみる。
カフェで小さな企画をやってみる。

その積み重ねの先に、
「人前で歌うようになるなんて思ってなかった」
という場所に自然とたどり着いていた。

大きな夢を“掲げなかった”からこそ、
大きな場所へ“導かれていった”人なのだ。


親友の裏切りで、生き方が変わった

sachi さんの転機は、社会人になってから訪れた。
信頼していた親友に裏切られ、世界の色が変わってしまった。

「あの経験のおかげで、怖いものがなくなった。」

それまでの彼女は、本音を飲み込み、傷つけない言い方を選ぶタイプだった。
だけどその出来事を境に、

「嘘の自分で接したら、相手もバリアを張る」
「本音でぶつからないと、本質は見えない」

という気づきが残った。

弱さや痛みを隠さず話してみたとき、意外にも“味方”が増えた。
「全部を話してくれてありがとう」と言ってくれる人がいた。
その経験が、彼女にとって大きな“安心”の土台になった。


体が壊れて気づいた、“我慢しない”という選択

もうひとつの大きな転機は、体調を崩したことだ。

「自分は大丈夫」「処理できている」と思っていたストレスが、
実は体をむしばんでいた。

そこから彼女は決めた。

「嫌なことはやめよう。我慢しても誰も幸せにならない。」

安心とは、マイナスな感情が少ない状態。
その定義を見つけてから、付き合う人・仕事・時間の使い方が変わった。


決断力は“経験値”から生まれる

sachi さんを語る上で欠かせないのが“決断力”だ。

といっても、勢い任せのタイプではない。
彼女は自分をこう分析する。

「未来は細かく見えないけど、“なんとなく”の予測はできる。
たぶん、経験の量が多いからだと思う。」

やってみる、感じる、動く、戻る。
数えきれない小さな挑戦が、彼女の中の“判断データ”として蓄積されている。

そして、こうも語っていた。

「悩んでいる時間がもったいない。
うちはモヤモヤ期が嫌いだから、決めちゃう。」

迷い続ける人を否定するわけではない。
ただ、sachi さんは「先に進む」を選んできただけだ。


安心できる場所と仲間があるなら、それでいい

今のsachi さんの幸せは、とてもシンプルだ。

「安心できる場所と仲間がいて、楽しいことができて、お金に困らないこと。」

かつては刺激を求め続けた20代。
いまは「安定でも大丈夫」と思えるようになったという。

これから少しずつ叶えたいこともある。
もう少し稼いで、もう少し自由に海外へ行ったり、
結婚や将来の時間について考えてみたり。

挑戦のフェーズを抜け、
自分のために人生を整えるフェーズへ。

sachi さんは、静かな風のような表情でこう言った。

「材料は揃った気がする。あとは自分がどう使うかだけ。」


“なんでもない一般人”のリアルが、誰かの光になる

パンピー図鑑は、有名人のストーリーではない。
どこにでもいる“普通の人”の、普通ではない人生の重みを集めていく。

sachi さんの物語に派手さはない。
けれど、そこにはきっと多くの人が欲しかった“ヒント”が詰まっている。

「できることしかやらなかった。
でも、やりたいことはちゃんとやってきた。」

その姿は、夢が見えなくても歩き続けていいんだと思わせてくれる。

Related posts

  1. パンピー図鑑|さってぃ ― “できること”を積み重ねてきた人